古典文学に見る男と女シリーズ　第35回

我が恋は ゆくへも知らず はてもなし
　　　　　　　　　 あふをかぎりと 思ふばかりぞ

古今和歌集　恋歌巻十二　凡河内躬恒

これこそ、まさに大人恋愛の真髄。
訳さずともストレートにつたわりますよね。
というより、もう訳しようがないです。

大人恋愛にはゴールというものは無く、揺らめくもの。
逢っている時のみが真実なのです。

大人恋愛をしている二人は、おおっぴらにはできない。
二人だけになった時だけ、秘密と本当の姿を曝け出しあい、愛し合う。

ただ、昔とは違い、今はメールで二人だけの秘密も作ることはできるのよね。
頻繁に逢えない仲なのですから、
メールも逢っている時と同じ位大切に扱ってもらいたいわ。

masaは、「言はで」男なので、メールも簡潔すぎるくらい簡潔で、事務的。
投げた話題に対しての返答もなくて、放っておくとほぼそのまま。

苦手とか忙しいとか、分かるわ。
分かるけれど、限度っちゅーもんがあるでしょうがッ!!!
恋愛には、多少の努力も必要でしょうがッ!!

・・・ってね。
「セックスと同じように会話にも手ごたえは必要だわ。
薄いカルピスを何杯飲んだって、美味しくないものは美味しくないし、
そんなもの意味のない事」
と投げたの。
弁解も何もなかったけれど、前よりは行数は2行くらい増えたわ。

・・・でも続かない。
また、電報メール。
いいえ、電報より短く、届くのだって遅い。

ただでさえ、解けそうに揺れている心なのに。
がっちりと掴んでくれないと、どこかへ行っちゃいそうだわ。
「本日を持ちまして・・・・」ってメールしちゃうわよ。
知らないからね。

・・・・と一人ムッときていても、逢っちゃうとね・・・・。
あーあ。
やっぱり、あふをかぎりと思ふばかりぞ。

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