「暖房止めていいですか?」
ミラー越しに、運転をしてくれているスタッフが聞く。
外の気温は寒いけれど、日差しが強く車内は暖かくなっている。
正に小春日和。
「ええ。どうぞ」
彼女は信号待ちで、ジャケットも脱ぐ。
「一時は大丈夫だったんですけれどね」
「キツイですか?」
「うーん。そうですね。最近は血圧も上がってこの前初めて薬も飲みましたよ」
「やはり・・・アレ・・・」
「ですね。更年期障害ですよ。間違いないですね。めまいもありますし」

彼女は45歳。男性並のパワーを持っている女性。
「●●さん、お化粧は?」
「あはは・・・そんなの汗ですぐ落ちちゃいますよ。やるだけ無駄になりますよ」
以前客先へ一緒に向かう時、彼女に聞くと豪快な返事が返ってきた。

元から汗かきなのが、今年の夏は異常だと言っていた。
周りは「更年期じゃない?」と陰でささやいていたが、面と向かっては言わない。

『更年期』というと、世間では女卒業の入り口と見られる。
女でなくなるのも時間の問題という決めつけ。

昔はそうだっでしょう。
女は子を産むもの。産めない女は女では無いと言われていましたから。
でも、今は当然そんな事はない。
(一部では、まだ残る偏見に苦しんでられる方もいらっしゃいますが、お察しいたします)

なのに『更年期』というと、本人を女として小馬鹿にしたような履き捨て感がある。
同じ女性でも。その内自分の身にもやってくるのに。

『更年期』だからしょーがないでしょと半ば諦めモードだったりする当人も・・・

待って、待って、
更年期って年を更に重ねるという時期でしょう?
英語で言えばchange of lifeです。
menopauseと訳されることもありますが、それは『閉経』ですから少し違います。
何と言うか、円熟した女性への門出ではないでしょうか。

R50の社会の第一線で活躍していらっしゃる女性の方にお聞きすると、
「憑き物が落ちたって感じもあるのですよ」そんな風に更年期を乗り越えた感想をお話しされる。
もっと仲良くしていただいている方からは
「何と言ってもアレの心配なくナニができるでしょ。楽よー」と。
そう。閉経後は妊娠の心配なくセックスができるから心から楽しめるというお話。
ちゃんと感じるし、満足のいくセックスだそう。

 

「女性ホルモンなども良いらいしいですね」
「うーん。ですが、私他にも何種類かの薬を飲んでいるので、それは無理らしいんです。
　 でも、どーんと来いです」
彼女はあっけらかんと言う。
「では、恋ですね。体の中から作り出すのが一番ですね」
×いち独身の彼女。恋は自由。
「でもねー、いないんですよねー。いい男はみーんな妻子持ちッ!!仕様が無いってものですね」

「いえいえ、そんなことは無いですよ」
という言葉はお腹の中で言った。

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早ければ30 代からもやってくるそうです。
そうなっても、前向きに過ごしたいですね。