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季節のバッグをクローゼットから出してましたら、
もうずっと使っていないバッグが出てきました。
「私は何でも知ってるのよ」と主張するような大奥のお局のようなバッグ。
A4書類もたっぷり入るバッグ。
トートなのにチェーンベルトでその頃の日本には無いライン。
ベージュ色でエレガントにもクールにも合うバッグ。
それはお店で一目惚れしたCHANELのトート。
今持っている書類とポーチとお財布が全部入ったら買うからと、
はしたなくも、お店の奥で、持っていたバッグの中身を取り出し、
その中身をそっくり入れてみました。
「It's perfect.」
手に持っていた分厚い手帳をもお店の女性が指差します。
渡すと少し苦笑いしながらもエイッと詰め込まれました。
「Overperfect !」どうだとばかりの勝ち顔の店員さん。
「Overwhelmed」と即購入してしまいました。
とても気に入っていたので、修理やクリーニングにも出したりしてかなり長く使用。
色々なところを共にしたバッグ。
仕事や帰りのデートも一緒でした。
そのバッグに最後に店員さんが無理やり入れたシステム手帳がfILOFAX。
大振りでしたが、赤い革が気に入ってこれも衝動買いしたものでした。
姉妹のようにバッグとfILOFAXはいつも一緒。
そのfILOFAXには、色々な情報が詰め込まれていました。
仕事のこと。プライベートのこと。そしてボーイフレンドたちのこと。
「確か・・・」
バックを引っ張り出しファスナーを開けると、やはりその手帳はありました。
「お久しぶりです」というように赤いfILOFAXが出てきました。
大切な情報は取り出し、使わないアドレス帳やプライベートメモやスケジュールはそのままにしていたはず。
クローゼットの中で手帳を開き座りこみ。
もう随分と前の記録。何のことかさっぱり分からないのばかり。
まぁ、その程度の情報だからここに置き去りにしているわけなのですけれど(^^ゞ
・・・京プラ10時●●・・・
なんてあると「●●って誰これ、何やってるのよー」と突っ込み、「あ゛ーっ午前中ロビーね」と安心したり、昔の思い出をめくります。
付き合っていたボーイフレンドの名前や情報。
「何よ、これ最初からやる気ないじゃん」とか
「結構のめり込んでいたじゃない。ここまでは・・・」なんて、
写真のアルバムよりも、手書き文字情報の方がその書き方や力の入れ方が表れていて、
昔のmyがビデオクリップのように次々と現れてきます。
突っ張っていたわねぇ・・・
なーにやってんだか・・・
あら可愛い事してるじゃない・・・
そのぐちゃぐちゃのメモの中に彼と同じ苗字が・・・
違うと思うのですが、時々"あの時のあの男"ではないか。と思うことがあるのです。
その男性がこの苗字であったかどうかは全然覚えていません。
その男性はあるパーティで一度会っただけでしたが、妙に印象に残っていたのです。
myの好きなタイプで惚れてしまった。
というのでは全く無く、逆に大嫌いなタイプでした。
イタリア製のようなソフトスーツ。
鍛えた体にいやらしいほど似合っていて、身のこなしがしなやか。
当時のmyにとってそんな男は「ゲッ(ー"ー )」
話し方も滑らかで、女性をコロコロと喜ばせている。「ゲッ(ー"ー )」
どこかの会社のJr.らしく「すねかじりがなーに言ってんだか寄るなあっちいけ」的態度をとったような気がします。
ただ、人間研究心はあって、そういうイヤなヤツはどういう行動をとるのか、目で追わずにはいられなくて、いちいち「ゲッ(ー"ー )」という反応をしていました。
もちろん、名刺の交換などはせずにそれきり。
理系硬派、理路整然と議論ができて、釈然とした説明ができるヤツが男たるものというこだわりがあって、ガチガチやらずに、ゆっくり行こうぜ的男性にはムカつきすら覚えていました。
でも、
ソフトスーツも着こなし、
艶も湛えた身のこなしに流れるような話し方。
ゆっくりゆったり構えた態度と行動。
それが彼。
昔のmyが見たら何と言うでしょうね。
デートだってシティホテル派でしたから、LHなんて信じられませんでした。
こんなやら、あんなお道具をセックスで使うなどということも夢にも思わず。
ましてやこの関係。
「何、いやらしい男と付きあってるのよ。って言うか何不倫してるのよっ!!」
なんて、思い切り引かれそうですね。
「うふふ。昔のアナタがいて、今の私が導かれているのよ。せいぜい気張ってね」
とでも切り返しましょうか。
今だからできる生き方。今だからできる恋。
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